シラバス詳細

タイトル「2023年度シラバス」、カテゴリ「人間発達文化学類」

科目情報

科目名

中国文化演習Ⅱ

講義名

中国文化演習Ⅱ

クラス

 

担当教員

澁澤 尚

実務経験のある教員による講義
学年

2年、3年、4年

キャンパス区分

金谷川キャンパス

開講学期

前期

開講時期

(前期)

曜日・時限

火2

科目種別

通常講義(学類)

科目区分

学際・教養科目

単位区分

選必自由

単位数

2

準備事項

備考

特修プログラム

教育目標との関係(DPポイント配分)

人間発達文化学類 人間発達文化学類 最新の専門知識及び技術
%
本質を見極めるための教養と学際性
%
協働的な問題探究
%
社会の改善につなげる創造性
%
市民としての主体的態度
%

授業方法

演習、グループワーク、発表、ディスカッション

講義情報

授業概要とねらい

      漢文学演習

   仁の心・孝の教え ─『論語』主要章精読

 「最上至極宇宙第一の書」といわれる世界的古典『論語』の諸章を多角的な視点から精読し、漢文読解の基礎知識、儒家思想の特質、古代の人間観などを学びます。
 『論語』は、高校時の「日本史」におけるイメージ―幕藩体制を支えた封建道徳の元凶、「古典」におけるイメージ―漢字で書かれた古くさいお説教、との誤解により、近寄りがたい堅物と思われがちですが、実は孔子や弟子たちの生々しい日常・人生の苦悩・歓喜・悲哀が豊かな「口吻(話しぶり)」とともに直截に現代人の心に突き刺さる強靱な古典の最たる書なのです。生前は敗北者として各地を放浪した孔子や弟子たちのことばに形骸化した道徳なぞは無縁でありました。
 後生、儒家思想は国教として変容し、日本においては朱子学の解釈により隆盛しましたが、この授業では、本来の巫祝(シャーマン)「原儒」としての儒家思想が濃厚に残存する『論語』から、混迷する現代社会に活かす知恵をも学び取りたいと思います。

単位認定基準

①漢文法・注釈(語注・出典)・現代語訳の基本を習得している。
②補説・考察など的確なレジュメ作成法を身につけている
③問題意識をもって古典に向き合う姿勢を身につけている。
④古代文化・古代思想について理解・学習している。

授業計画

 概説(『論語』の特徴と孔子の出自、『論語』の問題点など)の後、『論語』の章句を問題点に立脚しつつ選択し、演習形式(訓読・語注・解釈比較・現代語訳・補説・考察など)により発表してもらう。演習における研究対象は、人物(弟子)や徳目(仁・義・礼・智・孝等)に焦点をあてると良い。
 日本語の訳注書の類が既に多数刊行されているが、それらを単に写して終わるのではなく、有機的に利用し、新たな視点をもちつつ字書・辞書を用いて各自で解釈する。担当個所以外でも予習する姿勢が強く望まれる。
 『論語』精読においては、各種の訳註書の解釈を比較参照しつつ問題点を吟味しながら読解してゆく。なお、あらかじめ下村湖人『論語物語』を読んでおく。
 専門科目の演習であるから、(担当回以外でも)質疑応答に参加し、事前指導を受けた十分な調査研究、充実したレジュメ作成・発表をおこなう。

①ガイダンス
②『論語』の特徴と孔子の出自
③古典レジュメ作成指南(分析方法)
④『論語』解釈の問題点
⑤諸子百家とその時代・儒家思想の特徴
⑥『論語』精読(学而篇)Ⅰ~顔回を中心に
⑦『論語』精読(学而篇)Ⅱ~子貢を中心に
⑧『論語』精読(学而篇)Ⅲ~子路を中心に
⑨『論語』精読(為政篇)Ⅰ~孔子と政治
⑩『論語』精読(為政篇)Ⅱ~孔子と仁徳
⑪『論語』精読(述而篇)Ⅰ~孔子と礼楽
⑫『論語』精読(述而篇)Ⅱ~孔子と孝道
⑬『論語』精読(雍也篇)~弟子群像
⑭『論語』精読~その他の諸篇
⑮まとめ

授業計画(週形式)

教材・教科書

下村湖人『論語物語』(講談社・学術文庫) ※要購入
加地伸行『論語』(講談社・学術文庫)・金谷治『論語』(岩波文庫) ※簡易な文庫本訳注書2冊程度要購入・毎時携行
『新字源』(角川書店)等の漢和辞典

参考図書

黄懐信『論語彙校集釋』(上海古籍出版社)
程樹徳『論語集釋』(中華書局・新編諸子集成)
朱熹(土田健次朗訳)『論語集注』(平凡社・東洋文庫)
金谷治『論語』(岩波文庫)
加地伸行『論語』(講談社・学術文庫)
吉川幸次郎『論語』(朝日新聞社・中国古典選)
貝塚茂樹『論語』(中公クラシックス、全集)
宮崎市定『現代語訳論語』(岩波現代文庫、全集)
加地伸行『論語の世界』(中公文庫)
金谷治『論語の世界』(NHKブックス)
白川静『孔子伝』(中公文庫)
加地伸行『孔子-時を越えて新しく』(集英社文庫)

参考URL

授業外の学修、及び必要な学修時間

適宜紹介する参考文献・論文を指示に従って読解し、学習の積み上げが求められる科目にあっては、既習科目の復習をおこなう。単位制に基づき、少なくとも60 時間の授業外学修時間を必要とする。

成績評価の方法

①学習参加(学習姿勢・質疑応答) 40%
②発表・発表レジュメ(含事前指導) 40%
③平常試験によるレポート 20%

※特に演習科目として、事前指導をしっかりと受け、予習をふまえた質疑に参加できることが求められる。

成績評価の基準

S:すべての項目において非常に優れている。(90~100点)
A:すべての項目において優れている。(80~89点)
B:すべての項目において望ましい水準に達している。(70~79点)
C:十分でない項目もあるが、総じて望ましい水準に達している。(60点~69点)
F:望ましい水準に達していない。(~59点)

オフィスアワー

基本的に火曜日昼休み、木曜日昼休み以降。適宜メールにて連絡の上、左記以外でも対応可能。

授業改善・工夫

シャトル・ペーパー(『芬芳録』『芷蘭帖』)等の活用により、次回や次年度の授業内容・配付資料・授業進度に工夫を加えている。

留意点・注意事項

初回の授業・ガイダンス時から「出欠」の確認をおこなう。初回に教材の配付や発表日程等の決定をおこなうので、十分に留意する。当然ながら明確な履修の意思をもって受講し、遅刻欠席はしない。

教員の実務経験の有無

実務経験あり。立命館大学・東洋文字文化研究所共催、体験型漢字学習講座『福島漢字探検隊・漢字遊び大会』活動の実施等。